2026年度ITストラテジスト試験はCBTへ――現行制度最終年の変更点と合格に向けた準備

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は2026年7月6日、2026年度のITストラテジスト試験を含む高度試験の実施スケジュールを更新しました。ITストラテジスト試験はCBT(Computer Based Testing)方式で実施され、2026年度が現行試験制度の最終年度となります。受験予定者にとって重要なのは、単に試験会場でパソコンを使うようになることではありません。申込、受験日程、学習計画をこれまで以上に主体的に管理する必要があります。

2026年度ITストラテジスト試験の主な変更点

IPAの発表によると、2026年度のITストラテジスト試験は前期試験としてCBT方式で実施されます。CBT方式とは、試験会場に設置されたコンピュータを使って受験する方式です。受験申込みの際には、受験者自身が試験日時と試験会場を選択します。

申込受付期間と試験実施期間は次のとおりです。

  • 申込受付期間:2026年10月6日(火)から10月24日(土)まで
  • 科目A-1・科目A-2:2026年10月17日(土)から10月27日(火)まで
  • 科目B-1・科目B-2:2026年11月11日(水)から11月23日(月)まで

従来の一斉筆記試験とは異なり、科目A群と科目B群の実施期間が分かれています。試験日を自分で選べることは利便性の向上につながる一方、会場選択や学習のピーク設定を自分で管理しなければなりません。

出題形式はどうなるのか

CBTへの移行は、試験で評価される能力そのものがなくなることを意味しません。IPAが公表している2026年度の試験構成では、科目A-1と科目A-2は多肢選択式、科目B-1は記述式、科目B-2は論述式です。

  • 科目A-1:50分、四肢択一30問
  • 科目A-2:40分、四肢択一25問
  • 科目B-1:90分、記述式3問から2問を解答
  • 科目B-2:120分、論述式2問から1問を解答

したがって、経営戦略、IT戦略、システム企画、業務改革、リスク管理などを理解するだけでなく、与えられた事例を分析し、自分の経験や考えを論理的に表現する力が引き続き必要です。

現行試験制度の最終年度という意味

IPAは、現行試験制度を2026年度の実施をもって終了し、2027年度から新試験制度へ移行する予定であると案内しています。2026年度の受験者は、現行制度の試験要綱、シラバス、過去問題を活用して準備できる最後の年度に受験することになります。

ただし、「最後だから合格しやすい」「次年度は大幅に難しくなる」といった推測はできません。受験判断では、IPAが今後公表する新制度の情報を確認しつつ、自分の学習状況と実務経験を基準にすることが重要です。

受験者が今から行うべき4つの準備

1.学習計画を科目A群と科目B群に分ける

2026年度は科目A群と科目B群の実施時期が分かれます。まず知識問題への対応力を固め、その後に記述・論述対策へ重点を移すなど、試験日程に合わせた段階的な計画が有効です。一方で、論述力は短期間では身に付きにくいため、科目B-2の準備は早い時期から並行して進める必要があります。

2.論文の材料となる実務経験を整理する

ITストラテジスト試験が対象とするのは、経営戦略に基づき、ITを活用して事業改革や業務改革を企画・推進する人材です。自分が関わったプロジェクトについて、経営課題、目標、制約、関係者、施策、リスク、成果を整理しておくと、論述問題への対応力が高まります。

実務経験が少ない場合も、架空の成功談を作るのではなく、担当業務を戦略・企画の視点で捉え直すことが大切です。例えば、システム導入の一部分を担当した経験でも、その背景にある経営課題や業務上の目的を確認すれば、ITストラテジストに必要な思考を訓練できます。

3.DX・AIを「導入」ではなく「経営効果」で考える

生成AIやデータ活用は重要なテーマですが、技術を導入すること自体は戦略ではありません。どの経営課題を解決するのか、どの業務を変えるのか、どの指標で効果を評価するのか、どのリスクを管理するのかまで一貫して説明する必要があります。

これは試験対策に限らず、実務におけるITストラテジストの役割そのものです。AI導入案を検討する際には、技術の新しさではなく、顧客価値、収益性、生産性、組織能力、ガバナンスへの影響を評価する習慣を付けることが有効です。

4.申込開始前に受験環境を確認する

CBT方式では、受験者が日時と会場を選択します。希望する地域や日程の選択肢を確保するためにも、申込開始日を把握し、IPAの案内を継続的に確認しておくべきです。身体の不自由などによりCBT方式で受験できない人には、筆記による特別措置試験も案内されています。

ITストラテジストの本質は試験方式が変わっても変わらない

IPAはITストラテジストを、経営とITを結び付ける戦略家と位置付けています。その役割には、事業戦略の策定、情報システム戦略と全体システム化計画の策定、個別システム化構想の策定、改革プログラムの管理などが含まれます。

CBTへの移行は受験方法の大きな変更ですが、問われる本質は、経営課題を構造化し、ITを手段として実現可能な変革計画に落とし込む力です。試験対策では、知識の暗記だけでなく、実務上の判断を根拠とともに説明する訓練が欠かせません。

まとめ

2026年度のITストラテジスト試験はCBT方式で実施され、現行試験制度の最終年度となります。申込受付は2026年10月6日から10月24日まで、科目A群は10月、科目B群は11月に実施される予定です。

受験者は、最新スケジュールを確認したうえで、知識、記述、論述の準備を分けて計画する必要があります。そして、DXやAIを経営成果に結び付ける視点を養うことが、合格だけでなく、ITストラテジストとしての実務能力の向上にもつながります。


参考資料